社内アプリコンテストを実施してみて……

こんにちは、初投稿の よわよわ といいます。

社内で Flutter を利用したアプリコンテストを主催しました。
勉強会や WG を主催することはありましたが、コンテストは始めてでしたので色々と大変なこともありました。

今回は、そのあたりをまとめたいと思います。
(技術的要素は少なめです……)

ことの始まり

もともと Flutter を学習していたのですが、いかんせんモチベーションが上がらない。

どうにかいい方法がないものか?
なぜ上がらないのか??

と考えて気づいたのが、『 一緒にやる人がいない! 』でした。

ただ単に Flutter をやりましょーと声を掛けても、人が集まらないのはいつものこと。
どうにか人を集める方法はないものか……。

それは―― 賞金!!

ということで、まったくの思いつきでコンテストを主催してみることにしました。
自分自身も参加して賞金をかっさらうことにしました

コンテストを開催するにあたって

賞金が出るコンテストをやれば、普通に WG のメンバー募集よりも人が集まるやろ? という安易な考えで始めたものの、さっそく大きなハードルがあることに気づきました。

賞金はだれが用意するのか?

ということです(笑)

コンテストを行い賞金を出すとなると、会社の承認が必要です。
また、賞金だけではなくコンテスト中の開発にかかる時間を業務時間としてお給料に計上できるかどうかなど、色々と確認点が発生しました。

それらをクリアするために、次のような切り口で企画書を作成して無事に承認をいただきました。

企画をすることの意義

大義として

Monaca をはじめとしたモバイルアプリ開発を得意とするピープルにおいて、今後の世の中の動きについていくために Flutter という新しい技術を習得し開発の幅を広げるとともに。その技術習得者を増やす。

賞金を出す意義

現金支給するイベントは今までになくハードルが高いが、 10 万程度のコストで 1 からアプリを作りきる社員が数名増えると思えば、費用対効果は高いと考える。

モバイル端末を配布する意義

(前提として、たまたま当時、けっこうな数の社有モバイル端末が出番待ちで遊休状態……。有益な使いみちを探していました)
この手の企画をしても参加者がおらず、頓挫してしまう……。

そうならないために、『参加するだけでテスト端末が配布される』という謳い文句があると良いと考えた。
また、一度参加した人は今後のイベントや企画などにも参加しやすくなるため、社内イベントの活性化につながると考えた。

営業効果がある

コンテストを行い、その結果を Qiita で投稿する。

社内の盛り上がりをできるだけリアルに再現することで、社外の仲間も増やしたい!
(実際に Qiita に投稿した記事が こちら です)

Flutter コミュニティーの形成

コンテスト期間中は、コンテスト参加者同士が技術相談しながら開発していけばいいと思っている。
戦いというよりは共闘みたいな感じで。

そこで得た知見は Qiita に投稿し、Qiita Organization のピープル記事の底上げを測ります。
(来年は企業アドベントカレンダーとかできたらいいな)

役員の面々に対してプレゼンしたときは流石に緊張しましたが、思っていた以上に好感触で、賞金も 10 万ではなく参加人数に応じて増やせばよいという想像以上の結果に。

コンテストの応募要項

どんなコンテストだったかを簡単に説明します。

コンテストの期間は、 2020年2月 ~ 2020年7月 としました。長すぎず、短すぎずといったところでしょうか。

ちなみに告知は 2019 年の年末に行っていましたので、開始自体はコンテスト期間前からでも良いことにしていました。

応募要項としては次の項目を用意しました。

  • 募集内容
  • 表彰内容
  • 募集期間
  • 注意事項
  • その他(FAQ)

この中で特に大変だったのが 注意事項 です。

権利に関する取り決め

権利、つまりはコンテストに提出するアプリの著作権まわりの話です。

僕は個人で開発をしていましたので、他者との権利の取り決めをする必要がなく、なかなか難儀しました。

前提として、 「コンテストには気軽に参加してほしい」、「参加者になるべくメリットのある形を取りたい」と思っていましたので、著作権をコンテスト参加者に持たせたかった のです。

その部分に関しては、営業さんを始めとした有識者の方にお力を貸していただき、次のようにまとまりました。

1. 権利帰属

  • 応募作品にかかる著作権その他知的財産権は、次の権利に関する特約のもと、応募者に帰属します。

2. 権利に関する特約

  • ピープルは、応募者に対し、応募作品にかかる著作権その他知的財産権の使用許諾、実施許諾その他利用権および権利譲渡に関して、第三者に優先して交渉する権利(以下「応募作品の優先交渉権」といいます)を有します。
  • ピープルが応募作品の優先交渉権を保有する間、応募者は、ピープルの事前承諾がない限り、第三者との間で応募作品の優先交渉権に抵触する契約の締結(その募集、交渉など準備行為を含む)をすることはできません。なお、ピープルは、合理的な理由なく、事前承諾を停滞させたり、拒絶したりしないものとします。
  • 応募作品の優先交渉権の存続期間は、応募の日から、表彰式実施日の 1 年後までとします。

3. 遵守事項

  • 応募者は応募作品の優先交渉権の存続期間中、コンテストの応募作品の公への発表、公開、応募を行わないものとします。これは応募作品に関して第三者から、ピープルまたは応募者に対する権利の主張、異議、苦情、損害賠償請求等の紛争を避けることも目的としています。
  • 応募者は、以下の各号のいずれかに該当するような作品をコンテストに応募してはならないものとします。なお、これらの作品が応募された場合、ピープルは応募者の承諾を得ることなく、当該作品を選考から除外いたします。
  1. ピープル、その他第三者の肖像権、パブリシティ権、著作権等の知的財産権その他の権利を侵害する又はその恐れのある作品
  2. わいせつな表現・内容を含む作品
  3. 法令に違反する又はその恐れのある作品
  4. 公序良俗に反する表現・内容を含む作品又はその恐れのある作品
  5. その他ピープルが不適当と判断する作品

僕はコンテスト参加者に――ばかり考えていたのですが、 もし権利に関する揉め事が社外の第三者と発生した場合に会社が社員を守る という目線での取り決めは正直目からウロコでした。

個人開発ではなかなかその発想に至らなかったため、技術面以外のところでも大いに勉強になりました。

参加者を増やし、脱落者を減らす取り組み

もともと、『一緒に Flutter をやるひとを増やしたい』という目的で思いついたコンテストです。
できるだけ多くの人に参加してもらいたいと思いました。
まずは参加のハードルを下げたいと。

参加のハードルを下げる取り組み

コンテストの提出物はアプリとおすすめポイントをまとめたドキュメント( Markdown 形式)のみとした

これは Qiita 側にも書きましたが、いくら賞金のでるアプリコンテストとはいえ、最後に皆の前でプレゼンがあることで参加を躊躇してしまう人がいるかもしれません。
作るだけならいいけど、人前で話すのは……。

確かに業務でこんなことを言っていたら怒られてしまうかもしれません(笑)
ただ、これはみんなが始めてに触れるために開かれたコンテストです。

できる限り参加のハードルを下げてあげたいという気持ちから、プレゼンはなしにしました。

実際のところプレゼンがあればよいのに、という声もありましたのでこれはマチマチでしたね

テスト用端末の配布

今回のコンテストでは、 Flutter を使って開発をした Android アプリを題材としています。

もし iPhone ユーザーで Android 端末を持っていなかったら……。
そういう人が多いと思い、端末は配布する形を取りました。

また、これをすることで審査としても その端末での動作を保証する というフェアな条件をつけることができましたので、良い選択だったなぁと思います。
(別々の端末で開発をしていたら、開発では動いていたのに本番では……的なこともありますし)

 脱落者を減らす取り組み

無事に参加者を確保しましたが、提出アプリが 0 件でした……ではシャレになりません(笑)

なるべく多くのグループがアプリを作りきれるように、次のようなことを行いました。

WG を発⾜し技術面の開発サポートを⾏う

週に一度、作業スペースを開放して WG を開きました。
技術的な質問や相談を受けながら開発ができるようにです。

僕自身も Flutter は初学者でしたが、似たようなスキルレベルの人が集まって切磋琢磨している感じはなかなかに良いものでした。

WG 用に Slack チャンネルを用意

週イチの WG では時間が足りないかもしれません。また、社外に常駐しているために参加できないかもしれません。
そういった人もフォローしたいと思い、 Slack チャンネルも立ち上げました。

それなりに盛り上がっていたと思います。

コワーキングスペースの活用

上でも書きましたが、うちの会社は社外に常駐している人も多くいます。

そんな中で参加したいという人がいた場合に、社外での作業場所をどうするか? という問題がありました。

実際、コンテスト期間中に僕自身が社外に出ることになってしまったのですが、その点はコワーキングスペースを借りることで解消しました。
候補の調査、見学、契約まで自分でやったので、これまた大変でしたが……

最終的な提出アプリ数

8 件でした。

二桁に到達してほしいという気持ちがありましたが、こればかりは仕方がありません。
新型コロナウイルスの影響で作業場所の再確保が必要になったなど、突発的なことも要因にあると思います。

そんな中でもこれだけのアプリが提出されたというのは、逆に良かったと考えることにしました。

審査開始

審査は新入社員をはじめとした審査員に、テスト用に配布したものと同じ Android 端末を配布して行いました。

審査員も業務の傍ら審査をしてもらうわけですから、なるべく負担を減らせるように事前にコンテストアプリをインストールした端末を配布しました。

コンテストのエントリーと同様に、審査用の Google フォームを用意して審査を実施してもらい、全員が完了したら集計、受賞者の決定、という流れで行いました。

表彰式

せっかくのコンテストです、表彰式はセンセーショナルに………………コロナガガガァァァァ!!

はい。

もともと全社会議が 9 月に予定されていたため、そこで表彰式を行う予定でした。
ですがこのような世の中の状況です。
会議はオンラインへ、表彰式もオンラインへと変更を余儀なくされました。

オンライン形式の表彰式

対面のプレゼン形式であれば勢いや喋りでなんとかなると思っていましたが、オンラインとなるとそうはいきません。
表彰式が盛り上がるように、次のような Web アプリを作りました。

もちろん Flutter WEB で……はありません。
急遽オンラインに変わったので時間がなく、 Vue でサクッと作りました。

実際の表彰式では反応が全くわからないため、ものすごく不安になりましたが、あとで「良かった」と声をいただき嬉しかったです。

グランプリアプリの受賞理由

提出アプリのほとんどが個人利用を想定したものであったのに対して、グランプリのアプリは複数人での利用(主に親子での利用)を想定したものでした。

偶然ではありますが、コロナ禍において 人と人とのつながりを感じられるコミュニケーションに着目したアプリ というところが高く評価されたようです。

完成度、アイデアなどの 4 カテゴリも平均的に高いのはもちろんです。

ちなみに僕のアプリは

UX賞を頂きましたぁぁぁ!!

ほんとは 主催者がグランプリ というのを狙っていましたが、そう簡単にはやらせてもらえませんでしたね(笑)
いやだって、運営とか表彰式とかあったやん、そのへん考慮してよ )

社内コンテストをやっていみて

率直な感想、すごく貴重な体験をすることができました。

権利まわりの部分でハマったりして投げ出しそうになりましたが、普段は関わることの少ない他部署の方や、営業、法務の方などからも手助けをいただき、なんとかやりきることができました。

また、思っていたとおり、 通常の勉強会や WG を開くよりも多くの方に参加してもらえました し、 普段は関わらない別拠点の方とも交流ができました

もちろんコンテストに提出されたアプリには、なかなか完成度の高いものもあり、会社としても Flutter の技術者がいると断言しても良いレベルになったのではないかと思います。

賞金を用意するのはハードルがありますが、この記事を読んで興味を持ったという方がいましたらぜひ会社に企画してみてください!
(大変ですけど楽しいですよ~ 😋 )

この記事と違う切り口で書かれた内容は……

Qiita の方でも少し切り口を変えて書いていますので、よかったら覗いてみてください!

Flutter アプリコンテストを実施してみて…… | Qiita

1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です